脱皮の話

 

クモやセミなどの昆虫、脊椎動物では蛇の脱皮が有名ですね。

蛇の脱皮の後の殻を蛻(もぬけ)と呼ぶそうですが、「蛻(もぬけ)の殻」なんて言葉になっています。

セミの殻は「空蝉(うつせみ)」といいます。古典の源氏物語にも登場する名前ですね。

今日お話するのは、甲殻類のカニの脱皮の話です。

カニによっていろいろあるようですが、赤ちゃんカニの中には、一年に5回も6回も脱皮するモノもあります。タラバガニは、一生で20回も脱皮すると言われています。

カニの年齢はこの何回脱皮したかで図るのだそうです。

小さい時は何度も脱皮しますが、大人のカニになると一年に一回とかに減ってきます。メス蟹は産卵をすると脱皮がおしまいになるという事ですが、オスは脱皮が続きます。

カニは一生のうちで、何度も何度も、脱皮をしながらカラダを大きくしていくんですね。その時には体中、ハサミの部分や目玉も足の先まで、全部くるりと脱いでしまうそうです。

 

この脱皮が始まる前に、モゾモゾと何かが始まります。

科学者によると、カニは脱皮の前に特別な酵素を出し、硬い甲羅を少し広げようとするそうです。

今までは居心地よかったその甲羅が、ある日きつく感じ始めます。そこでその酵素がでると甲羅がやや拡大、そこに海水が誘い込まれるようになります。

やがて、甲羅のどこかが割れて、中からまだ柔らかいホワホワの次の甲羅が出てきます。この時期、外敵などにやられると、ひとたまりもありません。

脱ぎ終わると、そのカニは締め付けるモノがないので、体がものすごーいスピードで成長するんだそうです。つまり、自分を、あえて弱く晒したその時に、グーンと成長するっていう事ですね。
 

そして脱いじゃったこの小さい殻の、一体どこに収まっていたんだろうという位、大きくなった新らしいカニさんが現れます。

 

私達人間も、人生で何度も、脱皮っていう事をしてるんじゃないのかなと思います。

 

コーチングのプロセスで、クライアントさんを見ていると、時々、脱皮のどのあたりにいるのかな、なんて思います。

 

「何かこれだけじゃないって思うんですよね」

「今まで順調にきたけど、何かまだ本当にやりたいことやっていない気がする」

これは殻の中のモゾモゾを察知している声なんでしょうか。

 

「思い切って仕事やめちゃって、アメリカにきたんですが、まだ英語も今一つだし、これからどうしようって思って」

まだ柔らかい殻の、グーンと成長の真っ最中。これからどうなるかが分からない、殻がホワホワですから、とっても辛いし、怖いし、シンドイ。

 

中には「今はこれで十分、別に何も変えようとは思わない」とおっしゃる方がいます。これは今は、ある面については、まだ脱皮の時期ではないし、今の殻のサイズで大丈夫ということですね。

 

この精神的な脱皮というものが、私達の成長には、実は本当に大切、いや、実はなくてはならないプロセスという事に気が付いて、

今自分は脱皮のどの段階にあるのかと、立ち止まって考える事ができたら、人生がわかりやすくなるかな、なんて思います。

 

参考:京都府海洋センター http://www.pref.kyoto.jp/kaiyo2/zuwai/dappi-seichou-top.html

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