#15 「いつの日か」の嘘
今日のトピックは、「『いつか』の嘘」というテーマです。
この「いつか」というのは、「いつの日か」という意味の「いつか」です。
英語だとsomedayっていいますね。
いつか、あの人に気持ちを打ち明けよう
いつか、英語を話せるようになろう
いつか、20代の頃の体重に戻そう
いつか、あの押し入れの中を整理しよう
いつか、両親を旅行に連れて行こう
いつかは、明日かもしれませんし、来月か、来年か、5年後か。
この「いつか」を、「今」にしてしまうには、どうしたらいいんでしょうか。
20年近く前私は、アメリカの東海岸のある街に住んでいました。
ある日、しっぽが長いどこにでもいる、縞々のついた捨て猫の子猫をもらってきました。
私はその猫に「ハワイ」という名前を付けました。目が青くて初めて獣医さんの所で見た時、学生時代をすごしたハワイの、カイルアビーチの海を思いだしたからです。
その、カイルアの海の色の目をした猫をハワイと名付けました。
いつの日か、ハワイに戻っていける日を夢見て、
毎日のように「ハワイ!お前もいつかハワイに連れていくよ」と話しかけておりました。
でも、猫にハワイと名前を付けた位では、ハワイにおいそれと戻ってくることは出来ませんでした。
いつかと繰り返しているだけでは、それは、ただの考えでしかなかったんですが、
いつかと言っているだけで、なんとなく実現するような錯覚に陥っていました。
ある日その夢を自分のライフコーチに話してみました。
ライフコーチは「いいわねえ、夢があるのは素敵ね」と言ってくれましたが、ハワイの良い所を述べ立てていた私に、「それで、いつその計画を実行にうつすの?」と聞きました。
そこで、絶句してしまった私。その時は、いつかの夢を実行可能にする方法なんか、思いつかなかったからです。これがあるからできない、アレをしなくちゃいけないから無理。
コーチは「それは「いつか」の幻想、「いつの日か」の嘘ね」と言いました。
「じゃあ、今の時点で、その夢に向かって一歩でも近づくためにできる事って何かあるかしら」
今の時点で、一歩でも近づくための何か。
「いつかのハワイ」は、まるでスクリーンに映ったハワイのように、本物に見えました。
でも、一歩でも近づく行動をとらなければ、『いつかの夢』は私をスクリーンに映ったハワイで、だまそうとしていたことに、その時気がついたのです。なんとなく実現するような錯覚におちいっていた自分を発見。
何か行動を起こさなければ、私達は、「いつか」の嘘に騙され続けている事になるのです。
行動とは何でしょう。
行動とは「いつか」を「今」にする道具です。
小さな行動でいいのです。例えば、何かを実現させるための、プランを書き出してみる、これも行動です。
具体的な数字で割り出してみる。例えば、日数、予算、必要経費、時間数、これも行動です。
英語をマスターしたい人なら、一日に覚える英単語の数。
ご両親を旅行に連れて行く夢なら、まずは実現可能日の年月日や必要額。
「いつかする予定の減量」なら、何月何日までに何キロ。
今やれる事、これが行動です。
嘘つきのいつかの夢は、「今」に弱いからです。
猫のハワイは、私が行動に移すことを辛抱強く待っているうちに、
ついにお爺さんになってしまいました。
猫が17歳になるまで、なかなか行動に移せなかった大陸横断。
でも、やっと実現したハワイ移住。猫のハワイは、今では熱帯植物の咲き乱れるハワイ島で静かに永眠しています。
いつかの嘘に気を付けて、お爺さんになる前に、本当にやりたいことをしませんか。