#29 お姫様ごっこ
「お姫様ごっこ」
ちょっと乙女チック、漫画チックな題名ですが、
数年前から女性の間で静かに流行っている
自己啓発法なんだそうです。
お聞きになった事がありますでしょうか。
一日5分間、
朝2分、夜3分、
自分がお姫様になるというロールプレイをします。
お姫様だけではなく他の登場人物もいます。
登場するのは執事たち。
この執事は「良い執事」と「悪い執事」がいます。
「お姫様のわがままを全て肯定してくれて、気が利いて
お姫様をいつも一番大切に思ってくれる」という役どころが、
良い執事。
「いじわるな事を言って批判や説教を垂れるような執事」は
登場する事があっても、即刻、暇を出されて、首。
例えば朝のロールプレイ
姫は、自分の欲求や希望を言語化するのが仕事ですから、
「今朝はやる気が出ない。寝坊したい」
とかなんとか言う。
そうすると、
姫をなんでも肯定するのが仕事の執事は、
「お疲れの姫、ごゆっくりお休みくださいませ」
とやる。
このクライアントさんは、
始めは「なんだ、それは?」
と思ったんだそうですが、試しにやってみた所、
はまってしまったんだそうです。
若い女性受けのする「お姫様」コンセプトを使った
自己啓発のやり方だそうで、
幸川怜巳(ゆきかわれいみ)さんという方がブログを書き、
本も出しています。
幸川さんはスピリチュアルカウンセラーだそうです。
https://ameblo.jp/reimiyukikawa/theme-10088012063.html
私も「なんだ、それは?」と思ったのですが、
この方のブログなどを読ませていただいて、
それなりに心理に通じるものがあって面白いな、と思いました。
いつもこのポッドキャストでお話している事に
表面に出てきている自己のイメージ、
自己否定のくせ、
自分の本当の声を聴くという事で培う事ができる事、
自分の成長、
なんてテーマがあります。
潜在意識と顕在意識のお話もさせていただいています。
ただ、こういう抽象的な話し方をされても
私達にはあまりスーッと入ってこない。
でも、お姫様とか執事とか、
まあ、なんでもいいんですが、
具体的な役どころを付けてあげると分かりやすい。
自分を先ず肯定する練習が朝晩数分ずつの
「私は~をしたい」「~は本当は好きじゃない」
というお姫様の声を聴いて、書き出す事。
私のクライアントさんのように
「なんだ、それは?」と
感じられる方もいらっしゃると思いますが、
心理やコーチングの世界でも
実際に優れたカウンセラーなどに誘導されて、
こういう会話をしてみると
自分では気づかなかった「声」が聞こえてくる事があるのです。
男性の方で「お姫様と執事」ではピンとこないので
「坊ン」と「爺や」でやりましたという方もいて
ちょっと楽しくなりました。
役目のお名前はなんでも、
心の声は聞こえてくる。
「今日は仕事に行きたくない」
なんて言う声。
お姫様ごっこのミソは、
そういう声を無暗と否定せず、
肯定してくれる更にもう一つの声
執事の声を表面に出してあげる事なんだそうです。
お姫様ごっこという名前がついていますが、
お姫様の声は「潜在意識」、
いい執事悪い執事の声は「顕在意識」だと
説明がついています。
つまり、こうあらねばならないの「~ねばならない」の意地悪執事ではなく
「お姫がそう思うのには理由がありますよ、まったくその通りでございますよ」
と、肯定してくれるもう一つの自己肯定の声。
幸川さんも、お姫様ごっこの影の主役は、
お姫様ならぬ執事だと言います。
「自分一人だと、自分自身を受け入れることが難しかったりするが
執事の存在をかませることで 自己肯定しやすくなる。」
からだそうです。
私は心理学専門のライフコーチなので
お姫様ごっこが
ゲシュタルトというセラピーの方法にも似ているなあなんて
思って興味を持ちました。
ゲシュタルト療法では、自分の内部と外部への
アウエアネス(気づき)を体感するという方法を取るものです。
ゲシュタルトとは実存主義から出た言葉ですが、
この方法を開発した精神分析医によると
自分の気づきには、
体の気づき、
思考の気づき、
そして自分の環境についての気づきがあると
言います。
この気づきを全体的にまとめてバランスを取れる事が
自分の成長や問題解決につながるのだそうです。
例えば、
いつも慢性で頭痛がある人には、
頭痛そのものに「声」をもってもらい、
その声を聴くというような療法をします。
具体的にいうと
「貴方」と「貴方の頭痛」が
話し合いを持つというようなコンセプトです。
「なんでいつまでも痛いわけ?」と貴方が聞きます。
「いやあ、最近、気になる事があって」と返事が返ってくる。
「気になる事ってなによ?」
「我慢しろってアンタ言うけど、
俺、あの上司、やり方絶対におかしいと思っている」
と返事をする、
そんな感じでしょうか。
実際にゲシュタルト療法で、私も会話をしたことがあります。
私は自分の「悲しみ」というのと会話をしました。
「悲しみ」に声があるというのは
その時まで気が付きませんでした。
さらに、
その時出てきた悲しみは
丁度猫が時々吐き出す毛玉のような形をしている
イメージが湧いてきて、自分でおったまげました。
この悲しみ毛玉ちゃん、カウンセラーが質問をすると
しゃべるは、しゃべるは。
出てくるは、出てくるは。
今まで聞いてもらっていなかった事を
長々話してくれました。
このお話もいつかお伝えする機会があればいいなと思います。
ご自分で気になるからだの症状、
いつもでてくる思考状態、
イメージを持ってみて
「声」を聴いてみる。
そんなことを試してみるのも
面白いかもしれません。
うちなる感情、欲求、希望などに、
また内なる声に実際に、お姫様、坊ン、執事など
役どころを与えてみて
会話をしてみるというやり方の一つ
「お姫様ごっこ」さらに心理学両方の一つで
「ゲシュタルト療法」のご紹介でした。
ゲシュタルト療法を開発したドイツの精神分析医バールズ夫婦が残した詩
私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる。
私はあなたの期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
そしてあなたも、私の期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
もしも縁があって、私たちが出会えたのならそれは素晴らしいこと。
出会えなくても、それはしかたのないこと。