#10 アドバイスなんかいらない

聴くことの大切さは、コーチングでは、基本中の基本です。

でも、聴くという事は、簡単なようでいて、決してそうでもないのが現実です。

私達は、聴いてあげて、アドバイスをして、と簡単に言いますが、

本当にその人のために、その人の身になって聞くことができているんでしょうか。

 

あるアメリカのティーンエイジャーがこんなことを書いています。

問題があった彼がある日、父親に話をした時の事です。

 

「話を聞いてくれって頼んだのに、お父さんはアドバイスをし始めた。

アドバイスをしてくれって頼んだんじゃないんだ。

ただ聞いてって言ったのに。

『そんな風に感じる必要はない』って、お父さんはアドバイスをしてくれたよね。

それは、僕の気持ちを無視したって事なんだ。

 

話を聴いて欲しいと言ったのに、お父さんが僕の問題を解決し始めた。

お父さんは、僕の事を過小評価して、僕から僕の自信を奪う事なんだってわかってないんだ。

聞いてって頼んでいる時に、

お父さんは、こうしたらどうかって話し始めたから。

僕はね、コントロールされているっても、感じたんだ。

失望して、不愉快にもなった。

話を聞いてくれって僕がいったからって、

僕に解決方法が全くなかったわけじゃないんだ。

話を聞く代わりに、お父さんは、アドバイスした。

僕が自分で解決策を見つける事ができるようなことだったのに。僕だって自分で考えていたんだよ。

僕は自分の価値が下がったように感じた。

 

でもね、お父さん、

僕の話をきいて、僕の気持ちを受け入れてくれるとね、

エネルギーを使って、お父さんに自分を分かってもらおうとすることもしなくていいし、

自己弁護なんかもしなくていい。

その代わり、僕はどうしてこういう風に感じてるのかなあとか、

どうやったらこの問題を自分で解決できるのかなあという事にね、

エネルギーを使う事ができるんだよ。

でね、そういう時は、お父さん、アドバイスはいらないんだ。

アドバイスの代わりにね、僕を信じて、励まして、サポートしてくれるだけでいいんだよ。

お父さんから見たら、僕が持っている感情は、理屈に通らない感情かもしれない、

でもね、時間をかけて、聴いて欲しんだ。そうしたら、きっと僕の気持ちが、わかってもらえるから、お父さんにも。」

source: A little Book of Listening Skills by Mark Brady,Ph.D. and Jennifer Austin Leigh

 

ついつい、アドバイスをしてしまう私達。

この少年のお父さんのように、良かれと思ってアドバイスをしてしまいます。

子供たちにだったり、友人にだったり、同僚や部下にだったり。

自分の体験や社会経験から、他の人を観察して、アドバイスをする人はたくさんいます。

でもそれが本当に相手のためになっているかどうかは、この少年の必死の声に現れているように、

必ずしもそうでないかもしれないのです。

 

ここが、コーチングとアドバイジングの大きな違いの一つです。

コーチングでは、アナタが自分で解決する事が基本です。

もちろん、アドバスをしてくれるコーチもいます。

それはアナタが頼んだ時です。

たぶんそのコーチは、

「私だったら、こうするかもしれないけど、

今のアナタだったらどうするのが一番だと思っているのかな」

と聞き返してくれる事でしょう。

 

コーチはこの少年が言っているように、もうアナタの中に解決策がある事を知っています。

じっくり、自分の意見は控えて、聴く、と言う事で、

その解決策は、春の日の新しい芽のように、土の中からむくむくと出てくるんですから。

 

ご意見や体験などがありましたら、是非コメント欄にお寄せ下さい。

 

 

 

#9 質問を変えてみる

あるクライアントさんが、ため息をつきながら、こんな風に話してくれました。

「私ってどうしてこうなんでしょう」

このクライアントさんは、今まで4回の減量プランに挑戦して、

4回とも途中で挫折。

やる気持ち、痩せたい気持ちは十分あるし、

今度こそと思って、覚悟を決め、予定表を組んでやる、でも、

続かない。

1か月続いたこともあるし、一度は3か月近くできたこともありました。

「いつも、ダメなんです。続かないんです。」

「家族や親せきの事や仕事のことなんかは、やらなくちゃいけないから、

なんとかやるんですけど、自分の事となると意志が弱いっていうのか」

「私って、どうして、こうなんでしょう」とため息。

 

この質問―どうしてこうなんでしょう? 

どうして・WHYの質問ですよね。

これは実は、怖~い質問です。

 

なぜかというと、答は

――だって、私は意志がもともと弱いから

――私は、能力(お金、時間、学歴、環境、経験)がないから。

または、

――今は、これができていないから、

――あれがまだだから、

――性格が、もともとこうだから、

――親譲りだから、

 

と言う風に、行き止まりアンサー、

つまり袋小路に行きついてしまう

行き止まりの質問だからです。

 

もし、こんな風な質問を自分にしているのに気が付いたら、

「あ、行き止まりの質問だ!」と自分でキャッチしてください。

 

そして、「どうして~なんだろう?」の質問を

「どうやったら、~になるんだろう?」と変えてみてください。

 

どうやったらは、HOWの質問です。

アイデアを自分に聞いてみる質問です。

 

例えば、

「どうして、直ぐ甘いものを食べちゃうんだろう」

は、

「どうやったら、直ぐ甘いものを食べないようにできるだろう?」

です。

 

「どうやったら、あまりものを食べないようにできるだろう?」

例えば、こんな答えが出てくるかもしれません。

「お買い物にいっても、甘いお菓子やケーキを買うのを減らそう(やめよう)」

「家の中に甘いものを置いておかないようにしよう」

「食べてもいいけど、いつもより半分に減らそう」

「甘いものが欲しい時は、3回に2回はお茶を飲もう」

 

HOWの質問、どうやったら・どうしたらの質問は、

アナタの行動を助けます。

出来る事、今から動けることを

自分で決める事ができるのです。

 

何かやりたいと思っている時、思っているだけでは、

「思考」で止まったままですね。

思う事は素敵です。

 

思ったら、次にしたいのは「どうやったら」という質問です。

アナタの中にたくさんアイデアがあるはずです。

 

ちょっと隠れて、アナタに発見してもらうのを

待っています。

自分に聞いてみるだけでそのアイデアが出てきます。

どうやったら、それができるだろう?

 

どうやったら?

 

#8 輝く点:言葉のご褒美

良い点を言い合おう

 

最近、あるワークショップに参加した所、宿題がでました。

「友達や家族や同僚などに自分のいいところ、

強み、輝いて見える点を、3つ指摘してもらいなさい」

という宿題です。

それも20人の人に聞きなさい、というんですね。

「ねえ、私のいいところって何?」って聞くのって、照れくさい。

でも、考えてみると、誰かが「こういう所がいいですね」と褒めてくれると、

素直に、うれしいし、励みになります。

感じている事でも、言葉にしてもらうって大切かも。

 

思いついた23人の人にメールを出し、

ご協力をお願いします、と頼みました。

 

そうしましたら、ありがたい事に14人の知人が

即、お返事をくださいました。

いろいろ、励みになるお言葉をいただけたわけです。

 

これは、コーチングにも使えるスキルだなあと思いました。

自分が分かっているつもりでも、わかっていなかったこともありました。

自分でも思っていたことが、

他人によって確認されたというのもありました。

 

その励みになる輝く点を自分なりに表にまとめて、

机の前に貼ってあります。

言葉にだして、良いものは良いと言ってもらう事、

すごくパワーがあります。

 

この練習は、続きがあります。

私もお返しをしたいと思い、お返事を下さった方々に、

それぞれの3つの良い点を考えて、

メールのお返事をしました。

 

その輝く点を眺めて、

私はこういう良い点を持っている人達に、かこまれているんだなあと

自分をさらに振り返る材料になったというわけです。

 

ちょっとご褒美を与えてもらったという経験。

また、その人達にお褒美のお返しをできたかなという経験でした。

 

日々、山あり谷ありで、良い事ばかりではないのが私達の生活です。

そんなことを、皆さんも、良い点を言い合って、

言葉のご褒美をされてみてはいかがでしょう。


 

 

#1 二人の旅人

ある男が、谷の村から、山の上の村に向かって、

旅をしておりました。

 

途中で畑仕事をしている山の僧がおりましたので、

旅人は声をかけました。

「やああ、お坊様、精がでますなあ。

昨日は谷の村に泊まったが、

今晩はあの山の向こうの、あっちの村まで行こうと思っています。

あっちの村はどんな村ですかね?」

「昨日泊まった谷の村は、どんな村だったかね?」

汗をふきながら、お坊様は畑仕事から手を休めて男に聞きました。

 

「いやあ、ひどい場所でしたよ。

人は不親切で、食べ物もほとんどまともなものを分けてくれない。

貸してくれた寝場所も、犬や馬と一緒の土間。

言葉もほとんど何を言っているのかわからなかった」

すると、お坊様はこう答えました。

「山の向こうのあの村も、たぶん同じような村だなあ」

 

数日たって、また別の男が山の峠を通りかかりました。

最初の旅人と同じように、野良仕事をしている山の僧に気がついて

同じように声をかけました。

「やああ、お坊様、ちょっとおききしますがね、

昨日は谷の村に泊まったが、今晩はあの山の向こうの村まで行こうと思っています。

あっちの村はどんな村ですかね?」

「谷の村はどうだったかね?」

汗をふきながら、お坊様は手を休めて、

二人目の旅人にも同じように聞きました。

 

「いやあ、言葉があまりよく通じなかったのですがね、

暖かい汁物をこさえてくれて、外でもどこでも構わないからという私に

馬牛のいる土間でよければと、家の中に招待してくれましたよ。

貧しい村に見えましたが、

心の優しい人が暮らしている村に思えましたね。」

お坊様は、ちょっと微笑んでこう答えました。

「山の向こうのあっちの村も、たぶん同じような村だなあ」

 

人生における体験は、実は10%が「事実」で、

後の90%は「解釈」なのだそうです。

 

同じ事が起こっても

「大変だ、嫌だ、思った通りに行かない」と

解釈もできますし、

「ありがたいことだ、何かこれで学べる事があるかな」と

解釈する事も出来ます。

 

二人の旅人のお話は、

この90%の部分が私達がコントロールできる部分だ、

と教えてくれているように思います。

 

コーチングでも、この90%に集中します。

回りの人も、出来事も、

私達が「こうだ」と思う事で、

ずいぶん違ってくるからなんです。

旅人たちが教えてくれるように、

アナタがどこに行っても、

アナタの解釈が

アナタの人生を

アナタの世界を

作ります。

 

どうせなら、周りに「心優しい人がいる素敵な村」を作ってしまいましょう。

 

ご意見をお寄せください。コメントはこの下の欄から。

 

 

 

 

#2 天国と地獄の長いスプーン

世界の各地に伝わるお話です。

地獄では、亡者たちは片腕を椅子に縛られ、一本の手にスプーンをまきつけられています。必死でスプーンを口に運ぼうとする亡者たち。 

テーブルの上においしそうなスープや食べ物、周りの亡者たちも同じように片手で、必死です。

そのスプーンはとっても長~くて、食べ物を自分の口に運ぼうとしてもうまく届きません。せっかくおいしそうな食べ物があっても、この長いスプーンのおかげで食べる事ができず、人々は痩せこけて飢餓の苦しみを味わっているのです。

一方、天国も状態は同じです。天国の住人も長いスプーンを片手に食事をしているのですが、彼らは満ち足りて、幸せにやっています。

天国と地獄とどこか違うかと言うと、長いスプーンで自分で食べようとするのではないのです。

長いスプーンを使って、他の人の口に食べ物を入れてやっているからなのです。

誰かが、お返しに食べ物を口に入れてくれているのです。

長いスプーンの寓話は、実は世界中に散らばっているそうです。イスラム教でもユダヤ教でもヒンズー教でも語られている話。東洋だと中国故事だったり、仏教説話だったり。出典がはっきり分からない所がまた面白いと思います。

場所が日本だと、長いスプーンが長いお箸になっていたり、食べものがスープじゃなくて、茶碗に入っているご飯だったり。

アメリカだと、アメリカ独立の立役者、ベンフランクリンが言った話と信じている人もいるそうです。

 

この話は、自分の事だけじゃなくて、他人のことも考える、そうしたら、自分だって幸せになるよという教えですね。

コーチングでもよくお聞きするのは、これこれこういう難しい状況がある、だから、自分がしたいこれができない、という状況です。

つまり、スプーンが長い、口に食べ物が入ってこない、これです。

そういう時は苦しいから、必死です。ある意味食べ物が口に入らない「飢餓感」に近いものを感じます。

 

コーチングでは、スプーンが長い、じゃあどうしようと発想の転換をしてみます。

あ、あそこにひもじそうな人がいる、さあ、お先にどうぞ、という具合に。

相手に、何かをしてあげる、させていただくことで、

ひいては自分の所にも届く、いただくことができるんですね。

 

私はライフーチで、お坊さんでも神父さんでもないのですが、宗教に関係なく、人間同士ってそんな風にまわっているんじゃないのかしらんと時々思います。

だからこの単純なお話が、世界中に知れ渡っているんでは、なんて思うのです。

長いスプーンが問題と感じたら、その長いスプーンを使って、どうやったら他の人に何かしてあげられるかな、と発想の転換をしてみる。

もし、今日アナタが、何か一つでもきついなあと思う事があったら、

関係ない事でも、誰かのために何かをしてあげる、させていただくことを、試してはいかがでしょう。

相手にスプーンを向けてみたら、自分へのご褒美が思わぬ所からやってくるかも。

 

 

#3 子供のアナタ、老人のアナタ

「8歳のアナタが一人でシクシク泣いています。

どんな声をかけますか?」

 

「17歳、アナタの、初めての失恋。

どんなアドバイスしてあげましょう?」

 

「24歳、出産前の不安な時。一言言ってあげてください」

 

コーチングの勉強をしている時、こんな質問の手法を習いました。

人生の節目、節目。、先が見えない、何が起こるかわからない、

不安な気持ちがいっぱいでした。

 

その時、アナタは何をしましたか。

どんな言葉や、励ましが助けになりましたか。

先生や友達やご両親や、作家かTVキャスターか、

誰かが言った適切な言葉、

心に響いた経験がありませんか。

 

今のあなた、大人の智恵で、

その時の自分に、どんなアドバイスができるでしょう。

そんな、質問をするのです。

 

実際にコーチングでお聞きすると、クライアントさんは、

少し考えてから、こんな風に言います。

 

「『心配しなくていいよ』って言ってあげる」

「『今はつらいけど、もう少し我慢すれば、もっとよくなるよ』、でしょうか」

「『自分を信じて行けば大丈夫』って言うね」

 

あの時、こういう風に言ってくれる人がいたらなあ、

という感想を述べるクライアントさんもいます。

不思議ですけれど、中には、本当に心の中に声が聞こえた気がして、

「大丈夫」と思ったと、思い出す人もいます。

 

辛い時、物事がうまく行かない時、目標になかなか到達できない時、

渦の中にいて、出口が見えないと思ってしまいがちです。

 

でも、何とか解決し、克服し、次に進んできたアナタ。

その時アナタは、自分なりの智恵を働かせる事が、できたんですよね。

だから、今のアナタがあるのです。

 

30歳の経験と知識があるアナタが、

15歳の悩めるアナタに話かける事ができたら、

どんなに力強い味方になることでしょう。

「見ててごらん、心配ないよ。

今の大変さは、何年後かの肥やしになるからね」

と。

 

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この質問のやり方には、実は、続きがあります。

 

それは、「未来のアナタ」にご登場いただくという質問の方法です。

 

「100歳のアナタ。豊かな人生を過ごしたアナタです。」

(年齢は、100歳でも150歳でも、ご自分で決めてください)

 

未来のアナタが、今のアナタに話しかける事ができたとしたら、

どんな風に言ってくれるでしょうか?

どんな智恵を授けてくれるでしょうか。

 

アナタをこの世界で誰よりも一番、よーく知っている、未来のアナタです。

お爺さんやお婆さんになっても、アナタに本当に幸せでいて欲しいと

願っているアナタです。

 

そして、その100歳のアナタに、今のアナタは何と答えますか。

 

子供のアナタ、老人のアナタ、あなた自身と、今日はちょっと会話をしてみませんか。

 

#4 聴く智恵、聴いてもらう智恵

コーチングで、最も大切なスキルの一つが「聴く」という事、そして本当に大切な事を聴いてもらう事です。

「聴く」という事が大切なのは、もちろんコーチングに限りません。相手のあるお仕事なら、また、相手のある関係なら、その全てに「聴く」技術が大切な事はいうまでもありません。

お医者さん、弁護士、先生、営業マン、ありとあらゆるカスタマーサービスで、また、お父さん、お母さんが子供の話を聴く、友人や同僚の話を聴く、--聴く機会、聴いてもらう機会はどこにでもあります。

聴くことができる人は、人から信頼される度合いも高いのです。

 

「聴いてもらう」という事も実はスキルです。

人は誰かに話を聴いてもらう事で、信じられないくらい元気が出るというのは、私達の多くが経験したことがあることですね。

 

こんな話を聴いたことがあります。

ニュージーランドのマオリ族の小さな部族を、西洋人のヒーラー達が訪ねた時の事です。

マオリ族の戦士も聴く智恵、聴いてもらう智恵を持っています。

マオリ族の戦士も聴く智恵、聴いてもらう智恵を持っています。

その部族は数百人で構成されている自給自足の小さな島の部族でした。

そこでは西洋でいう薬というものをほとんど使わないというのです。

「じゃあ、病気を一体どうやって直すんですか」先進国から来た一人が訪ねました。

「誰かが病気になったら...

と、その部族のメディスンマンは言いました。

「老若男女、子供たちも全て村の真ん中に集めるんですよ」

集まった部族の人々は病人を真ん中にぐるりととりまき、メディスンマンが一つ質問をします。

「あんたが本当に言いたいのに、言えないでいる事、まだ言っていない事って、一体何なんだね?」

そして、その病人が本当に言いたい事を言い終えるまで、じっと何時間でも、時には何日も待つのだそうです。

大切なことは何かを、聴いてもらう、答を辛抱強く待ってもらう事でもあります。

 

その環境が揃うと、私達は自分の中に本来持っている「智恵」にエネルギーを向ける事ができます。聴き手たち、部族の皆と繋がる、インターコネクテッドネスを通じで、私達の中にある智恵が、聴き手の持っている智恵と、呼応する。そして、重複し拡大した智恵には、心や精神だけでなく、体の病気まで直してしまう力がある、とこの部族の人達は教えたんだそうです。

 

この話を聴いたとき、そんなことって本当にあるのかなとも思いました。でも、私達も聞いてもらう事で、すっと心が軽くなったり、思わぬ解決口が見えたり、混乱していた事に整理がついたりしますね。

 

コーチングだけでなく、ビジネスにもティーチングにもparentingにも、応用できるリスニングの技術。

 

この話は、聴くこと、聴いてもらう事の、とってもすごいパワーを伝えていると思います。

 

#5 脱皮の話

 

クモやセミなどの昆虫、脊椎動物では蛇の脱皮が有名ですね。

蛇の脱皮の後の殻を蛻(もぬけ)と呼ぶそうですが、「蛻(もぬけ)の殻」なんて言葉になっています。

セミの殻は「空蝉(うつせみ)」といいます。古典の源氏物語にも登場する名前ですね。

今日お話するのは、甲殻類のカニの脱皮の話です。

カニによっていろいろあるようですが、赤ちゃんカニの中には、一年に5回も6回も脱皮するモノもあります。タラバガニは、一生で20回も脱皮すると言われています。

カニの年齢はこの何回脱皮したかで図るのだそうです。

小さい時は何度も脱皮しますが、大人のカニになると一年に一回とかに減ってきます。メス蟹は産卵をすると脱皮がおしまいになるという事ですが、オスは脱皮が続きます。

カニは一生のうちで、何度も何度も、脱皮をしながらカラダを大きくしていくんですね。その時には体中、ハサミの部分や目玉も足の先まで、全部くるりと脱いでしまうそうです。

 

この脱皮が始まる前に、モゾモゾと何かが始まります。

科学者によると、カニは脱皮の前に特別な酵素を出し、硬い甲羅を少し広げようとするそうです。

今までは居心地よかったその甲羅が、ある日きつく感じ始めます。そこでその酵素がでると甲羅がやや拡大、そこに海水が誘い込まれるようになります。

やがて、甲羅のどこかが割れて、中からまだ柔らかいホワホワの次の甲羅が出てきます。この時期、外敵などにやられると、ひとたまりもありません。

脱ぎ終わると、そのカニは締め付けるモノがないので、体がものすごーいスピードで成長するんだそうです。つまり、自分を、あえて弱く晒したその時に、グーンと成長するっていう事ですね。
 

そして脱いじゃったこの小さい殻の、一体どこに収まっていたんだろうという位、大きくなった新らしいカニさんが現れます。

 

私達人間も、人生で何度も、脱皮っていう事をしてるんじゃないのかなと思います。

 

コーチングのプロセスで、クライアントさんを見ていると、時々、脱皮のどのあたりにいるのかな、なんて思います。

 

「何かこれだけじゃないって思うんですよね」

「今まで順調にきたけど、何かまだ本当にやりたいことやっていない気がする」

これは殻の中のモゾモゾを察知している声なんでしょうか。

 

「思い切って仕事やめちゃって、アメリカにきたんですが、まだ英語も今一つだし、これからどうしようって思って」

まだ柔らかい殻の、グーンと成長の真っ最中。これからどうなるかが分からない、殻がホワホワですから、とっても辛いし、怖いし、シンドイ。

 

中には「今はこれで十分、別に何も変えようとは思わない」とおっしゃる方がいます。これは今は、ある面については、まだ脱皮の時期ではないし、今の殻のサイズで大丈夫ということですね。

 

この精神的な脱皮というものが、私達の成長には、実は本当に大切、いや、実はなくてはならないプロセスという事に気が付いて、

今自分は脱皮のどの段階にあるのかと、立ち止まって考える事ができたら、人生がわかりやすくなるかな、なんて思います。

 

参考:京都府海洋センター http://www.pref.kyoto.jp/kaiyo2/zuwai/dappi-seichou-top.html

#6 白い狼と黒い狼

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今日は選択という事について、お話ししてみたいと思います。

 

アメリカインディアン、チェロキー族に伝わるお話です。

チェロキー族の酋長である長老が、孫の小さな少年と話をしていました。

「おじいちゃんはどうして、りっぱな酋長になれたの?」

「それはどの狼に餌をやるか知っていたからだよ」

「どこに狼がいるの?」

「狼は、誰の中にも2匹ずつ住んでいて、いつも闘っているんだ。一匹は黒い狼、もう一匹は白い狼だ。」

「へええ。僕の中にも住んでいるの」

「ああ、住んでいるよ。まだ小さい奴だがな」

長老は言いました。

「黒い狼は、怒り、嫉妬、傲慢、劣等感、後悔、心配、強欲などで出来ている。

白い狼は、喜び、平安、謙遜、優しさ、同情、寛大さ、思いやり、愛で出来ている。

この二匹は、朝から晩まで私たちの中で闘っているんだ」と。

 

「ふーん、おじいちゃん。じゃあ、どうやって、好きな方の狼を勝たせるの」

「それはな、餌をやるんだよ。好きな方の勝たせたい方の狼に、餌をやればいいんだ。」

「狼は何を食べるの?」

「お前の時間と気持ちだ。それから、それぞれができているそのモノだ。それが餌なんだよ」

 

私達は選択があると、このお話は伝えていると思います。

 

どちらの狼も私達の中に住んでいます。でも、どちらの狼に餌をやるか、私達が決める事ができるのです。

心配をすれば、黒い狼が喜びます。人を羨んだり嫉妬したりすると黒い狼が太っていきます。

反対に、誰かに思いやりや優しさの気持ちを持てば、白い狼が元気になります。白い狼に時間と気持ちを注げば、注いだだけ筋力がついてくるのです。

それを決めるのはあなたです。あなたがどちらの狼を元気に太らせる事ができるかは、あなた自身の選択にかかっているのです。

 

コーチングでも、実は私はよく、この黒い狼と白い狼の話をします。

気が付かないうちに勝たせたくない方の狼に、おいしい餌をあげてしまっていませんか。本当に勝たせたい狼は、お腹がすいてふらふらになっていませんか。

あなたの今現在の気持ち、貴重な時間を本当に勝たせたい狼にあげてくださいね。

 

#7 「自己否定の声」との付き合い方

「自分らしい自分になろう」と決心したあなた。「これからはやりたいことをやるんだ」と覚悟を決めた瞬間から、なにやら、頭の中でぶつぶつ、聞こえてくる「自己否定の声」。

いつもどこから聞こえてくるあの声、知らない人の声ではないんですね。親の声?兄弟?上司?誰の声でしょう?

 

「えー、無理だよ~」「ダメダメ」

「どうするの、生活は?」

「(資金・能力・学力・経験・支援グループ)ないし~」

「(家族・子供・親・親戚・同僚・同級生・ご近所・世間様。。。)がなんて言うか」

「前もそんなことやろうとしたことあったよね、結局挫折しなかった?」

 

聞かないようにするたびに、その声、段々大きくなってきます。

 

~そうです、自己否定の自分の声。曲者です。どこにでもくっついてきますから。

 

実はこの声、誰もが頭の中に持っている声なんですね。

どんなに成功した人でも、自信満々に見える人でも、あなたの先生でも、コーチでも、ちゃんと持っています。人間ができるときにパッケージでくっついてきちゃったんです。

 

この声との付き合い方、コーチングではどんな風にするんでしょうか。パッケージでついてきたから、そこだけ捨てちゃうわけにはいきませんし。

コーチから、提案です。

 

自己否定の声が大きくなってきたら、次の2つのことをしてみてください。

1)まず、ちゃんとその声に耳を傾ける

ちゃんと聴いてあげて、フムフム「私」はそういうふうに思って心配しているんだねえと認識する。――だって、それは誰もが持っている、一種の自己防衛の能力なんですから。

そして、

「ありがとうねえ!心配してくれて」、と感謝の言葉をその声にかける。

「うるさい、静かに、黙れ!」には、もっと大声で言うというデフォルトの機能が備わっているので、そうだねえ、と聞いてあげるのが一番。

 

2)したいと決めた事を、強くイメージする。もう一度初心に戻って思い出す。

もうできた、達成したというイメージを強く持つ。もうその状態になっている自分を具体的に描いてみること、これは私達の脳にとって、とっても大切な訓練です。

できないをできるにする一番の方法は、できたを自分のものにしてしまうこと。

 

どうでしょうか。きょうまた「できな~い」の自己否定の声がきこえてきたら、

「ハイハイ、きいてますよ、ありがとう」「あれ、もうなってるよ、ほら~、できちゃった」

 

これで、行きませんか。

聴き手のパワー

聴き手のパワー

 

決めた目標を、人に話すと、

達成率がグ~ンと上がると言われています。

 

不思議な事に、‘自分一人で考えているより、

誰かに聴いてもらうと、断然、いいわけです。

だまされた、と思ってやってみてください。

 

何かをしようと決めたら、家族や友人などに、とにかく話してみましょう。

「体重減らすから、見ててね」

「俺は転職する。絶対」!

「金持ちになるぅ~!」

 

これだけでも、違います。

 聴いている人何もしていないようにみえますが、

 実はパワーを持っているんですね。

 

 それは、あなたの言葉を受け止めて、宇宙に消えていく前にしっかりとその人の中に刻むというパワーです。

言霊とコーチング

12月15日

 

言霊がコーチングに、関係があるんですか。

 

答えは、イエス!あります!!実に密接な関係があるのです。

 

その関係とは?

 

古代日本人は、「言葉には不思議な霊威が宿る」と信じて「コトダマ」と呼びました。

(佐々木隆著「言霊とは何か:古代日本の信仰を読み解く」)

 

つまり、何かを言葉にして発すると、その言葉自体に力があって、

言葉にした通りのことが起こるという信仰ですね。

 

誰でも、自信を無くしていたり、行き詰ったり、分かれ道に立っていたりの場合があります。

そんな時、つい出て来てしまう言葉は

「私って何やってもだめ」

「どうせ俺には限度がある」

「どっちに転んでもヤバい」

 

言霊の考え方からすると、

「何をやってもだめ」と言うことは、

「何をやってもだめになろう」という方向に

エネルギーを費やしている事なのです。

自分がめざす方向とは、全く逆 ですよね。

 

コーチングでも、まず自分が普段発している言葉に注意を向ける練習をします。

 

実際に口に出している言葉、

心の中でついに言ってしまっている言葉

知らず知らずに繰り返している言葉

 

「反対方向」の言葉のパワーを使ってしまっていませんか?

 

言葉そのものに霊験があるのかどうかはともかく、

言葉を発することで、無意識の関心がそちらに向かっていることは、想像できます。



斎藤一人「言霊の偉大な力」

ぐずぐず癖の改善

2015年10月15日

 

ぐずぐず癖の改善

 

やる気はあるんだけど、どうも取り掛かりが、遅い。

目標、立てたし、数値にもした。

だけど、あー、始まらない。なぜか、ぐずぐず他の事をしてしまう。

手が付かない。

ぐずぐず癖の対策はどうすればいいでしょうか。

 

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アメリカの小説家、マーク・トウェインはこんな言葉を残しています。

トムソーヤの冒険など名作を残した作家ですね。

 

「もしあなたの仕事が、カエルを食べるという事だったら、

朝一でそれをやってしまうことだ」

そして、                                         

「もし、カエルを2匹食べなければいけないのなら、

大きい方から食べてしまうことだ」

 

やるべき事のリストを眺めて見てください。

そして、一番大きいカエルをマークします。

やりたいかやりたくないか、

気が進むか気が進まないか、

時間がかかるかあまりかからないか、

とにかく、全部、脇にどけます。

 

朝一で、大きいカエルから食べてしまう、

これが、シンプルなぐずぐず癖の改善方法です。

 

 

 






ゆかり先生のコーチングブログ

 

2015年10月1日

書き出しのパワー

 

やりたい事やゴールはあるんだけれど、なかなか達成できないという人は、

まずノートに書き出して見る事を勧めます。

 

 

パソコンやスマホに書いておくのもOK。

ノートや紙にペンで書くというのが、一番パワーが強いように思います。たぶん、手を使って書く事で、脳に指令が行って、意識の中にインプットされるのかもしれませんね。

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コーチングに来るクライアントさんには、まず書いてみる事を、勧めています。


例えば、こんな感じですね。

私のゴール

1)投資で稼ぐ

2)家族ともっと仲良くする

3)英会話の上達を果たす


大まかで、ザクッとしたものが書けました。

始めに書き出すゴールは、ぼんやりしたもので大丈夫です。


ゴールのある毎日、人生って、たとえそのゴールに全て到達していなくても、書いてみるだけで、達成感ってあるものです。


「私ってこんなことをしたいなあって思ってたのね」、と自分で驚く人もいます。

「書いてみて、モヤモヤ思っていたものが、見えた気がする」と感じる人もいます。

次に、もう少し細かく書き出してみます。


例えば、

1)投資でかせぐ

a.  2016年の前半までに投資を軌道に乗せる

b.  2016年末までに100万円の純益を得る


2)家族ともっと仲良くする

a.  年二回は実家に帰る

b.  妹達の誕生日にギフトを贈る

c.  毎週実家に電話する時母親だけでなく、一分でもいいから父親とも話す


3)英会話の上達を果たす

a.  英検一級を9月までにとる

b.  今月中に電話英会話のクラスに申し込んで、週に2回英会話の機会を作る


やや、細かいゴール設定ができました。

細かい設定に、具体的な日時や回数などが書き出されていますね。

ココがポイントです。



脳は、考えたり、想像したりするが大好きです。だって、その為の器官ですから。

考えるとそれだけで、エネルギーがそっちに行きますね。これは左脳の仕事です。

図や状況などを想像すると、今度は右脳が、いろいろ働きます。


左脳中心に生きている私達の脳は、数値で示された日付や回数や金額だと、「これね!任しておいて!」とインプットする機能があります。


まずは、数字に慣れている左脳に働いてもらうのが、書き出しパワーの秘密です。

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