#14 潔く逝く準備
三浦花枝さんは、古流なぎなた直心影流(じきしんかげりゅう)の伝統をハワイローカルのアメリカ人たちに、50年間無給で、教えてきた薙刀の師範です。
薙刀を普及させること一筋に、花枝先生の人生がありました。
日本では女性の武芸である薙刀も、ハワイではその門戸を開いて男性のお弟子さんも沢山います。
彼らの披露する優雅な薙刀をみて、日本の薙刀専門家たちはアッと驚いたと言います。花枝先生の厳しくもあり、また心から生徒たちの事を思う教え方にそったアメリカの薙刀が、日本のものと遜色ないことを認めたからです。
潔く生きてきた花枝先生は、潔く去っていく準備も万端です。
「家族がないので、一人で生きるという事に対して、私の心は強いのです」、と何事もないかのように
微笑む三浦先生。
日本にももう身寄りのない三浦先生は、一人で、潔く逝く準備ができています。
クロゼットの中の衣服は、一着ずつ、どのお弟子さんに形見分けするかが、すでにマークしてあります。
家具類もほとんど使ってくれそうな人にあげました。
いつ何が起こっても大丈夫なように「延命措置はしないで」という用紙を、肌身離さず持って歩きます。
人が避けたがる死というトピックも、薙刀の矛先を見るようにぴっちりと焦点を合わせて
「準備はね、いいんですよ」。
生徒や近所の人が困らないように、周りの人を第一に考えて、お葬式ももうお金が払ってあります。
「薙刀が私を守ってくれているんですねえ」
薙刀の精というものがあるとしたら、それはおそらく何百年も薙刀に精進してきた何千人何万人の女性達の心の精でしょう。
ハワイにはこんな女性がいらっしゃいました。
三浦先生のインタビュ記事全文
前半 http://maplehawaii.com/2017/02/06/hanae-miura-1/
後半 http://maplehawaii.com/category/ohana-circle/